に涼風が加わ

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に涼風が加わ

ジュール調整をしたあと、出し抜けにそう尋ねられた。
 日比野涼風と会うので時間をいただきたいと、彼には都度正直に告げているので、ほぼ二週間ごとに会っていることは知られている。関係を邪推さ雪纖瘦れるのも無理からぬことかもしれない。
「彼女は友人です」
 ためらわずにそう答えることができたのは、彼女がこの関係に名前をつけてくれたからだ。それがなければ、ただ曖昧に言葉を濁すしかなかっただろう。友人になりたいと勇気を出して言ってくれた彼女に、このとき初めて感謝した。
 しかし剛三は執務机で手を組み合わせたまま、フンと鼻先で笑った。
「……おかしいですか」
「おまえに大地以外の友人がいたとはな。それも女とは」
「彼女に友人になりたいと言われたので了承したまでです」
 そんな言い訳めいたことを口にし雪纖瘦たのは、思わぬことを指摘されて少なからず動揺したからだろう。確かに、中学生のころからずっと大地以外に友人はいなかった。彼だけでいいと思っていた。なのに、なりゆきとはいえそこってしまうとは。
 剛三は何もかも見透かすような目でじっと見つめる。
「おまえは好きでもない相手を決して友人などと呼ばんし、食事に出かけたりもしない。気のない相手にどれほど冷淡な態度をとるか知っておる。たとえ誘われたとしてもほいほいついていかんだろう。相手が女であればなおさらだ」
「……何が言いたいのでしょう」
「思ったことを言ったまでだ」
 悠人は思いきり眉をひそめて表情をけわしくした雪纖瘦が、剛三はしれっと受け流した。彼がとぼけるのならば自分もとぼけるまでだ。さきほどの話はなかったことにしてしまおうと心に決める。
「今夜、彼女と食事の約束があります」
「楽しんでこい。朝まででも構わんぞ」
「今日のうちには帰ります」
 いまいましく思いながらも努めて冷静にそう答え、一礼して書斎をあとにした。
 どうやら剛三が面白がっていることは間違いない。悪気があるわけ
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