も何度か
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も何度か
「あいつさ、冷たいんだよ」
自分の周囲をビールの空き缶で花畑のように彩り、三笠は吐き捨てるように呟いた。話したいことがあるんだ、寂しげな声を聞いた時から大体、話の見当はついていた。最近の三笠の相談ごとはそのほとんどが恋人との痴話喧嘩。真面目に話を聞いて、真剣に考えて、翌日アドバイスしようと電話をしたら、前日の悲壮な雰囲気はどこ吹く風、仲直りしたんだ、鑽石能量水とあっけらかんと言われたあげくに背中がむず痒くなるようなノロケを聞かされて、
『夫婦喧嘩は犬も食わぬ…』という諺を思い出して呆れ果てる始末だった。話を聞いてないわけではないが、言うほど真剣に取らなくてもいい。それがここ二か月で門脇が親友の恋愛から学んだことだった。
「俺がどんなに好きかなんて、智は全然わかってないんだよ」
三笠は頬の青アザを左手で擦りながら、涙目のままクッとビールを飲み干した。抜群のタイミングで、つけっぱなしのテレビからもの哀しい音楽が流れてくる。間奏だけでわかる。ホテルカリフォルニアだ。
門脇は畳の上に置いていた缶ビールを手にした。缶の底が白い埃をくっつけてきて、いつから部屋を掃除してないんだろうと思った。以前部屋を訪ねたことはあるが、 鑽石能量水 今ほど汚れてなかったし、殺風景でもなかった。そう、この部屋はどこか殺風景なのだ。あから泣き顔の三笠が、よけいに寂しそうに見えるのかもしれない。
「門脇から見てさ、俺たちってどうなのかな」
客観的な意見を求められても困るが、聞かれたからには真面目に答えたくて、門脇は眉間に皺を寄せたまま腕組みした。門脇は三笠も、三笠が付き合っている吉本智という人間も良く知っている。二人とも同級生で親友だからだ。知り合った当初は、鑽石能量水 二人がホモセクシャルで、付き合いはじめてしまうとは夢にも思わなかったが…。
「…いいんじゃないか」
三笠は酔いに染まった赤い目で、上目遣いに門脇をじっと見た。
「喧嘩ばっかりして、俺、怒ってばかりなのにそれでもいいのかな」
門脇は額に指先をあてた。
「俺は三笠が言うほど吉本が冷たい男だとは思わない。吉本はお前ほど素直に気持ちを外に表せないだけじゃないだろうか」
三笠は拗ねた子供のような仕種で両足を投げ出した。そんなこと知っているんだという顔で、唇を尖らせる。
「俺はさ、頭悪いんだよ」
呟いたあとで、三笠は缶を蹴っ飛ばした。
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